正直に言う。今日は、できれば使わずに済むのがいちばんいい話をする。
前に、外国の方と結婚した社員が「もし離婚することになったら、手続きはどうなりますか」と、幸せな今のうちに備えとして聞いてきた話を書いた。あのとき、私は「備える、その姿勢が強い」と書いた。でも、肝心の手続きの中身までは、表では書かなかった。
この続きが必要になる人は、たぶん二通りだ。当事者として、いま実際にその場面に向き合っている人。そして、その手続きを預かる、私と同じ管理部門の人。立場は違っても、知りたい中身は同じはずだから、どちらにも届くように書く。
もし当事者として読んでいるなら、まず、焦らないでほしい。一つずつ見ていけば大丈夫だ。何が関わってくるのか、その地図を、できるだけ優しく置いておく。
最初に、これだけは言わせて
本題の前に、ひとつだけ。
私は精一杯調べた。でも専門家ではないし、制度は変わる。そして——これから話すことの中には、特に外国籍の方にとって、人生に関わるとても重い部分が含まれている。だからこの記事は「全体像をつかむための地図」として読んでほしい。数字や要件には、すぐ隣に公式のリンクを置いておく。そして、重い部分については、必ず専門家(行政書士や弁護士)に相談してほしい。ここは、本当に、強く言っておく。
関わってくること①「届け出には、期限がある」
まず、知っておいてほしいことがある。落ち着く間もなくて申し訳ないのだけれど、これは期限がある話だから、先に置いておく。
「日本人の配偶者等」などの在留資格で日本にいる方が離婚した場合、出入国在留管理庁へ「配偶者に関する届出」をする必要がある、とされている。期限は、その事由が生じた日から14日以内。これは届出をする、という事実の話なので、まず頭の隅に置いておいてほしい。
届出は、オンライン(電子届出システム)でも、窓口でも、郵送でもできる、と案内されている。
関わってくること②「この先、日本にいられるのか」——ここは、専門家へ
そして、ここがいちばん重い。
結婚を理由に日本にいる方にとって、その結婚が解消されるというのは、日本にいられる立場——在留資格そのものに関わってくる。離婚したからといって、すぐにどうこう、という単純な話ではない。事情によっては、別の在留資格への変更を考えることになる場合もある。
正直に言う。ここから先は、私が「こうなります」と言える領域ではない。一人ひとりの事情で、扱いがまるで変わるからだ。生半可な知識で語って、もし間違っていたら、その人の人生を左右しかねない。だから私は、ここははっきり線を引く。
在留資格のことは、必ず、行政書士や弁護士といった専門家に相談してほしい。出入国在留管理庁のページでも、こうした申請は専門家が代理・取次できる仕組みになっている。それだけ、専門的な判断が要る領域だということだ。一人で抱え込まず、確かな相談先を頼ってほしい。これだけは、強く伝えたい。
関わってくること③「健康保険の扶養から、外れる」
ここからは、会社員の配偶者として扶養に入っていた場合の、保険まわりの話だ。
離婚すると、健康保険の扶養からは外れることになる。手続きとしては、社員本人が会社を通じて、扶養を外す届出(被扶養者異動届)を出す。扶養に入れるときと、ちょうど逆の流れだ。提出先は、入れるときと同じく日本年金機構。資格確認書などが発行されていれば、それを返す(添える)ことになる。
当事者の側からすると、この手続きそのものは会社が動かす部分なので、まずは勤め先の担当に状況を伝えるのが入口になる。
関わってくること④「自分で、保険と年金に入り直す」
扶養から外れると、これまで保険料を自分で払わずに済んでいた状態が、終わる。だから、次は自分で入り直すことになる。
新しい職場で社会保険に入る場合を除けば、住んでいる市区町村で、国民健康保険と国民年金の手続きをすることになる。健康保険のほうは、扶養を外れた日から14日以内に届け出る、とされている。年金のほうも、第3号被保険者から第1号被保険者への切り替えが必要になる。もし保険料を払うのが難しいときは、免除や猶予を申請できる仕組みもある。一人で抱えず、市区町村の窓口で相談してみてほしい。
関わってくること⑤「離婚届そのものと、相手の国のこと」
離婚届の出し方は、日本人同士の場合と、基本は同じだ。話し合いでの離婚(協議離婚)なら、本籍地か所在地の市区町村に届け出る。成年の証人が2名要る。
ただ、相手が外国の方の場合、もう一つ頭に入れておきたいことがある。日本で離婚届を出して日本では離婚が成立しても、相手の母国での手続きは、その国の制度に従って別に必要になる場合がある。どうなるかは国によって違うので、ここも、在日の大使館・領事館や、専門家に相談するのが確実だ。
一人で、抱えないで
並べてみると、届出があって、在留資格があって、保険と年金があって、離婚届がある。やることは、たしかにいくつもある。
もし当事者として、これに向き合っている人へ。一つずつでいい。そして、ぜんぶを自分一人で背負わなくていい。特に在留資格のような重い部分は、それを仕事にしている専門家がいる。市区町村の窓口にも、年金事務所にも、相談できる人がいる。心が大変なときに、手続きまで一人で抱えるのは、本当にしんどいから。どうか、頼れるところを、頼ってほしい。
そして、もし私と同じ、手続きを預かる立場でこれを読んでいる人へ。あなたのところに相談に来た社員は、人生の大きな節目に立っている。書類は淡々と進めるとしても、急かさず、わからないことは一緒に確かな相談先を探す。それだけで、その人の心の重さは、少し軽くなる。私は、そうありたいと思っている。
ここに書いたのは、私が調べた範囲の地図にすぎない。数字や要件は、添えた公式リンクで確かめて、自分のことは、確かな相談先で確認してほしい。立場がどちらであっても——あなたは、一人じゃない。
「総務・労務・経理で悩むあなたに、現場から届けます。」
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