入社手続きを会社側がやること全部まとめた〜期限・チェックリスト付き〜

労務・社会保険

正直に言う。

「採用、決まったから」

その一言を聞いた瞬間、私の頭の中では、十数種類の書類と、5日以内という期限が、一斉に動き出す。おめでとう、よりも先に、段取りが回り始める。これはもう、職業病みたいなものだ。

入社手続きは、地味で、重くて、ミスが許されない。入社1人につき、書類が十数種類以上発生する。多くは社員側が記入・提出するものだが、受け取った後に会社側がやることが、これまた山ほどある。

今日は、その「会社側がやること」を、全部並べてみる。これから総務をやる人、今まさに手続きの渦中にいる人の、地図になればいい。


内定が決まったら、まず動くこと

内定が出たら、即座に書類一式を郵送する。案内文・各種届出書・返信用封筒をまとめて送る。スピード勝負だ。ここでもたつくと、後の全部が後ろにずれる。

送付はレターパック。返信用封筒は簡易書留にしている。個人情報が含まれるかどうかで使い分けるためだ。こういう細かい使い分けは、誰も教えてくれない。先輩のやり方を見て、自分で覚えていくしかない。

制服・作業着のサイズだけは、入社2週間前を切る場合に電話連絡が必要になる。納期の都合だ。ここだけは、うっかり忘れると初日に制服がない、という事態になる。地味だが、侮れない。


書類が届くまでが、一苦労

書類を送ったら、次は「待ち」の時間だ。そして、これが思った以上に、こちらの精神を削ってくる。

社員から書類が返ってくるスピードは、本当に人それぞれだ。

翌日には返してくれる、ありがたい人。何度催促しても、のんびり構えている人。こちらが「お早めに」と赤字で書いて送ったのに、なぜか一番最後になる人。不思議なもので、急いでほしい時に限って、なかなか揃わない。

でも、ここで急かしすぎるのも違う。相手にも事情がある。だから、期限を見ながら、頃合いを見て、角が立たないように一本連絡を入れる。「ご準備、いかがでしょうか」と。この匙加減も、地味に神経を使う。

届いたら、すぐ中身を確認する。記入漏れ、押し忘れ、添付書類の不足。何かあれば、すぐ電話だ。そして、揃ったものから順番に、手続きを進めていく。


法定手続きと期限

さて、ここからが本番。一番、気が抜けない部分だ。

手続き提出先期限
社会保険加入届年金事務所資格取得から5日以内
雇用保険加入届ハローワーク資格取得翌月10日まで
扶養控除等申告書社内保管(税務用)揃い次第

見てほしいのが、社会保険の「5日以内」。これが、なかなかにシビアだ。

入社日から5日。その間に、本人から書類が返ってきて、内容を確認して、届出書を作って、提出する。他の緊急案件が重なった週にこれが来ると、もう綱渡りだ。優先度は一番上に置いているが、一人で現場を回していると、正直、肝が冷える時がある。

制度の細かい部分や最新の様式は、日本年金機構の資格取得手続きのページで確認できる。期限や添付書類は変わることもあるので、迷ったら必ず公式を当たってほしい。


一番しんどい作業:紙からの転記

そして、この仕事には、私が密かに「最難関」と呼んでいる作業がある。

紙からの、転記だ。

うちの会社では今も、書類のやりとりが全て紙で回っている。だから、マイナンバー、扶養家族の情報、基礎年金番号——これらを、紙から目視で一文字ずつ拾って、給与システムや社会保険の届出書に打ち込んでいく。

これが、怖い。数字の桁が一つ違うだけで、別人の手続きになりかねない。だから、打ち込んでは確認し、また見比べる。神経をすり減らす作業だ。肩がバキバキになる。

転記が終わったら、完成した届出書を特定記録郵便で、年金事務所とハローワークへ送る。そこまでやって、ようやく一人分が終わる。

この一連の流れを、入社のたびに、一人ずつ繰り返す。


チェックリスト(会社側がやること)

頭で覚えようとすると、必ずどこかが抜ける。だから、私はリストにして潰していく。会社側がやることを、まとめておく。

□ 書類一式を郵送(レターパック+返信用簡易書留封筒同封)
□ 返送書類の受取・内容確認・不備対応
□ 社会保険加入届の作成・提出(5日以内)
□ 雇用保険加入届の提出(翌月10日まで)
□ 扶養控除等申告書の社内保管
□ 給与振込口座の登録
□ マイナンバーの収集・保管
□ 健康診断個人票の保管
□ 通勤手当・住宅手当の算定
□ 制服・名刺・印鑑・携帯等の手配
□ マイカー通勤の場合は車検証・保険証券の確認


中途入社者は、追加で確認が必要

新卒だけでなく、中途入社の場合は、前職がらみの確認が追加で入る。

□ 源泉徴収票(前職分)の受取
□ 雇用保険被保険者証のコピー確認

特に前職の源泉徴収票は、年末調整に関わってくる。本人が「もらってない」「なくした」となると、こちらも動けない。早めの確認が肝心だ。


正直に言うと

この手続きが、まだ全て紙で回っている。

十数種類以上の書類、複数の提出先、5日という期限。それを一人でこなしている現場が、今もきっと、たくさんあるはずだ。これを読んで、「分かる」と頷いている人が、どこかにいる気がする。仲間だ。

そして、この入社手続きと対になるのが、退職手続きだ。送り出す方は、もっと複雑で、もっと相手が多い。その退職手続きで会社側がやることも、別の記事にまとめてある。

本当は、もっと楽な方法がある。社員が自分で情報を入力すれば、各種書類に自動で反映される。担当者は、確認して承認するだけ。そんな仕組みも、世の中にはちゃんと存在する。

うちでは、まだ実現していない。でも、いつか必ず。その日が来たら、その話もここで書こうと思っている。

「総務・労務・経理で悩むあなたに、現場から届けます。」

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コメント

  1. あいあい より:

    入社手続き大変ですよね
    経理・総務・労務すべてを担当することが多い中小企業だと、特に4月は月末の締め作業と入社手続きが重なって息をするのも忘れるくらい忙しかったのを思い出します
    新入社員の方の提出書類に不備があって連絡しても、何故かなかなか連絡が取れないことがあるのも困りものでした
    各所への手続きが沢山あり漏れが心配だったので、会社側がやることのチェックリスト助かります!

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