月次決算が遅いのは、経理のせいじゃない〜請求書と承認の壁を、現場の工夫で越える〜

経理・財務

正直に言う。

月次決算が遅い。それで悩んでいる経理担当は、たぶん多い。そして、その遅れの原因を「自分の処理が遅いせいだ」と抱え込んでいる人も、きっといる。

でも、現場で長年やってきて、わかったことがある。月次決算が遅れる原因の多くは、経理の「外」にあるのだ。請求書が届かない。承認が下りない。自分一人がどれだけ速く処理しても、止まる時は止まる。

だから、月次を早く締めるというのは、自分の手を速くする話だけじゃない。「経理の外」で止まっている流れを、どうこじ開けるかの話でもある。今日は、私が現場で実際にやっている工夫を話す。


コツ①:事業所との連携を速くする

うちは複数の事業所が離れた場所に点在している。各事業所に届いた請求書は、現地の事務員がとりまとめ、支払一覧表を作り、所属長の印鑑をもらって本部へ郵送してくる。

この郵送が、時間を食う。

やった対処はシンプルだ。現地の事務員と仲良くなりまくること。そして、どこで時間がかかっているかを確認すること。

請求書は大体3〜5営業日で届くことが多い。支払一覧表が出来上がった段階でPDFを撮ってメールで送ってもらえれば、郵送を丸ごとスキップして本部での処理に入れる。

ただし、これは現地の事務員にひと手間をかけることになる。だからこそ、日頃から「是非お願いします」「いつもありがとうございます」「本当に助かっています」と言い続けている。お世辞ではなく、本当に助かっているからだ。

これは対症療法だ。本来は電子化で解決すべき話だと思っている。ただ、現場は待ったなしだ。小手先でも何でも、処理が早まればそれでいい。


コツ②:入力作業のテンプレート化・複写活用

毎月同じ取引先への支払いは、毎月同じ作業になる。それを毎回ゼロから入力するのは非効率だ。

テンプレートを用意しておく。複写を活用する。新規で打ち込む量を減らす。それだけで、入力にかかる時間がかなり変わる。

地味な話だが、積み重なると大きい。


コツ③:来ない請求書を待たずに動く

ここからが、本題かもしれない。さっき書いたとおり、月次が止まる原因は、たいてい「経理の外」にある。その筆頭が、来ない請求書だ。

販売システムには支払い予定の一覧が出る。それと実際に届いた請求書を照らし合わせて、明らかに到着が遅い業者には自分から連絡する。

「今月分の請求書がまだ届いていないのですが、FAXかメールでいただけますか」

待つのではなく、取りに行く。この発想に変えるだけで、締め日直前の慌て方が全然違う。請求書が来るのを祈って待っている時間は、何も生まない。だったら、こちらから取りに行ったほうが早い。


最大の壁は、承認だった

コツを3つ話したが、正直に言うと、自分でコントロールできない部分もある。そして、月次を止める一番大きな壁は、たいていそこにある。

請求書の整理は経理がやる。各拠点から送られてきた帳票を本部で取りまとめる。ただ、その全社分の内容を最終的に確認し、検印するのは営業のトップだ。商流の責任を持つのは、売上から回収まで見ている営業だからだ。

拠点単位の処理は、所属長のチェックを経て比較的早く回ってくる。問題はその先だ。全拠点分が集まった書類を承認できるのは、最頂点にいる営業のトップ一人。そしてこの人が、とにかく多忙だ。外を飛び回っていて、なかなか本部に戻ってこない。書類は机に積まれたまま、承認を待つことになる。これが、月次を止める構造的な問題だ。

自分の処理をどれだけ速くしても、ここで全部が止まる。月次が遅いのは、経理のせいじゃない——そう言いたくなるのは、こういう時だ。

ただ、私は諦めていない。本部に戻ってくるタイミングを狙い澄まして、「今、5分だけお時間いいですか?これだけハンコください!」と、書類の山から最優先の3枚だけを引っこ抜いて突撃する。

自分でも何やってるんだろう、令和だよね今、と思いつつも、システムが変えられないなら、自分の動き方で1時間を10分に縮める。

月次を早く締めるとは、そういう地味なゲリラ戦の積み重ねだ。自分の手を速くするだけでは、半分でしかない。残りの半分は、経理の外で止まっている流れを、どうこじ開けるか。そこに踏み込めるかどうかで、締まる速さは変わってくる。

まだ道半ばだが、その過程もここで記録していこうと思っている。

「総務・労務・経理で悩むあなたに、現場から届けます。」

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