※この記事には、プロモーション(広告)が含まれます。
正直に言う。
前に、サポート詐欺に遭った現場の話を書いた。偽の警告画面に、事業所が大慌てした、あの一件だ。あの時、つくづく思ったことがある。「何かあった時に、すぐ調べられる」というのは、それだけで、心強い。
そう、ウイルス対策ソフトの話だ。今日は、これについて、現役の管理部門の立場から、正直に書いていく。
ウイルス対策ソフトは、「安心」を買うものだ
最初に、私の考えを言っておく。
ウイルス対策ソフトというのは、性能や機能を買っているようでいて、その本質は、「安心」を買うことだと思っている。
何かあった時に、すぐスキャンして白黒つけられる。「これを入れているから、大丈夫」と思える。その安心が、日々の業務の不安を、一つ減らしてくれる。サポート詐欺の現場で、私が痛感したのは、まさにこれだった。守ってくれる「性能」そのものより、「守られている」という感覚に、お金を払う価値がある。
その前提で、読んでほしい。
個人なら、もう「いらない」かもしれない
いきなり、身も蓋もないことを言う。
個人で使うパソコンなら、わざわざウイルス対策ソフトを別に買わなくても、なんとかなる時代になりつつある。
理由は、Windowsに最初から入っているセキュリティ機能(Microsoft Defender)が、近年かなり優秀になったからだ。ドイツに拠点を置く、世界的に有名なセキュリティ評価機関「AV-TEST」(英語サイト)のテストでも、防御力・動作の軽さ・使いやすさで、市販ソフトに引けを取らない高い評価を得ている。昔の「標準機能なんて気休め」というイメージは、もう古い。
私自身、昔は個人で無料のウイルス対策ソフトを使っていた時期がある。でも、正直なところ、広告がやたらと出るし、本当に効いているのか、いまいち分からなかった。まあ、当然だ。無料の範囲というのは、そういうものだ。今思えば、あの頃から標準機能を信じておけば、よかったのかもしれない。
……ただし。これは「個人なら」の話だし、「絶対に要らない」と言い切るつもりもない。公的機関(IPA)の啓発資料は、今でも一般利用者にウイルス対策ソフトの導入をすすめている。標準機能が良くなったのは事実だが、入れて悪いものでもない。そこは、各自の判断だ。
でも、法人は別だ。会社のPCに対策は必須
ここからが、本題だ。
個人はともかく、会社のパソコンに、ウイルス対策をしない、という選択肢は、ない。これは、断言していい。
近年、企業を狙った「ランサムウェア」の被害が、後を絶たない。パソコンやサーバーのデータを勝手に暗号化して使えなくし、「元に戻してほしければ金を払え」と脅す。最近は、データを盗み出した上で「払わなければ公開する」と二重に脅す手口も主流だ。
これが、どれだけ深刻か。情報処理推進機構(IPA)が毎年発表している「情報セキュリティ10大脅威 2026」で、ランサムウェアによる被害は、2021年以降、6年連続で組織向け脅威の第1位だ。しかも、脅威として選ばれ続けているのは、それより前から。2016年の初選出以来、11年連続でこのランキングに名を連ねている。一過性の流行ではない。もう何年も、企業にとって一番の脅威であり続けている。
そして、被害は、決して他人事ではない。誰もが名前を知っているような大手企業が、ランサムウェアでシステムを止められ、サービスが何週間も停止し、数十万人分の個人情報が流出する——そんな事件が、ニュースを賑わせている。しかも、それが年に一件や二件ではない。毎年、同じような大きな事件が、何件も起きている。「うちは大丈夫」が、まったく通用しない世界なのだ。
考えてみてほしい。私たち管理部門は、顧客の情報、社内の機密データ、従業員の個人情報——絶対に外に漏らしてはいけないものを、日々、扱っている。それを預かる会社が、「特に対策はしていませんでした」「予防もしていませんでした」「ウイルスを調べる機能すらありませんでした」では、話にならない。下手をすれば、信用を失い、会社が傾く。
煽るつもりは、まったくない。でも、これだけは言わせてほしい。法人なら、ウイルス対策ソフトは、必ず入れておくべきだ。それは、コストではなく、会社を守るための、最低限の備えだ。
法人のウイルス対策ソフト、選び方の基準
では、数あるウイルス対策ソフトから、何を選べばいいのか。
「安心を買う」という観点で、私が大事だと思う基準は、二つある。
一つは、長年の実績がある、大手であること。理由は単純だ。無名のところだと、ある日、会社が潰れたり、サービスが終了したりするかもしれない。——これは、長年お世話になった町のお店が、ある日ふっと廃業してしまった話でも書いたが、安くていい相手ほど、長く続いてくれるとは限らない。ウイルス対策ソフトは、使い続けて、常に最新の状態に保って、初めて意味がある。提供元が、明日も来年も続いてくれること。これが、何より大事だ。それに、多くの人が使っているサービスほど、価格はこなれていくし、ウイルスの情報も大量に集まる。利用者が多いこと自体が、安さと、守りの厚さに、つながっていく。
もう一つが、これは少し意外かもしれないが——どこの国の企業が作っているか、だ。
「どこの国製か」が、なぜ大事なのか
なぜ、製造元の国まで気にするのか。実は、うちの実家で、それを実感する出来事があった。
実家のパソコンには、ネット回線の契約におまけで付いてきた、ある国——仮に「某国」としておく——その某国製のウイルス対策ソフトが、入っていた。ところが、ある時、回線会社の方から、こんな予告が来たという。「このソフトの提供を終了し、別のものに切り替えます」と。
背景にあったのは、世界情勢——平たく言えば、その国をめぐる、戦争の影響だ。提供していた会社が自分で選んだわけではなく、回線会社の側が、組織として「もう、これは続けられない」と判断したわけだ。
親本人は、切り替えること自体より、「また登録し直さなきゃいけない」と、その手間に愚痴っていた。でも、私は、少し考えさせられた。
ウイルス対策ソフトというのは、その性質上、パソコンの中身を、すみずみまで見ることができる。それだけ強い権限を持つソフトだからこそ、「作っているのが、どこの、どんな企業か」が、効いてくる。技術が優れているかどうかとは、また別の話だ。世界の情勢が変われば、昨日まで当たり前に使えていたものが、急に「大丈夫だろうか」と心配の種になる。事業者が、わざわざ切り替えを予告してくるほどに。
だから、長く付き合うものだからこそ、製造元の国と、その信頼性は、頭の片隅に置いておいて損はない。これが、私の正直な実感だ。
主要なソフトを、開発国で見てみる
その視点で、よく知られたウイルス対策ソフトを、いくつか並べてみる。面白いことに、開発している国が、見事にばらける。
※価格やプランは時期によって変わるので、実際に検討する際は、必ず各社の公式サイトで最新の情報を確認してほしい。以下は、2026年の時点で調べたものだ。
ESET(イーセット)/ 開発:スロバキア
ヨーロッパ・スロバキアのセキュリティ企業が開発しているソフト。日本では、キヤノンのグループ会社が販売とサポートを担っている。つまり、「開発は実績あるヨーロッパの専門企業、日本の窓口は大手のキヤノン系」という構図だ。安心の出どころが、二重にしっかりしている。
昔から「検出力の高さと、動作の軽さの両立」で評価が高い。第三者評価機関のテストでも、長く高評価を続けている。法人向けには、複数台をまとめて管理できる「ESET PROTECT」というシリーズが用意されている。
巧妙な詐欺も、ESETなら見抜く 軽くて強い、家族を守るセキュリティ
ウイルスバスター(トレンドマイクロ)/ 創業:台湾系・現在は日本本社
日本で「販売本数No.1」を掲げる、おなじみのソフト。創業は台湾出身の方々によるものだが、現在は東京に本社を置く、東証上場の企業だ。日本での知名度とサポート体制は、随一と言っていい。「日本語のサポートで安心したい」という会社には、心強い選択肢になる。
法人向けには、クラウドで一括管理できるビジネス向けプランが充実していて、中小から大規模まで幅広く対応している。
ノートン(Norton)/ 開発:アメリカ
世界的に広く使われている、アメリカ企業のソフト。個人向けの「ノートン360」シリーズが主力で、ブランド力は抜群だ。法人向けにも、中小企業(スモールビジネス)向けのプランがある。
ただし、どちらかというと個人・小規模事業者向けに強みがあり、大規模な法人向けの幅は、専業の他社ほど広くない。少人数の事業所なら、有力な候補になる。
ZERO ウイルスセキュリティ(ソースネクスト)/ 販売:日本・エンジンは海外
ここは、少し事情が違う。販売しているのは日本の企業(ソースネクスト)だが、ウイルスを検出する心臓部(エンジン)は、海外の会社のものを採用している。製品によって、インドの企業のエンジンだったり、ルーマニアの企業のエンジンだったりする。
最大の特徴は、買い切り型で、更新料が0円という点。とにかく安く済ませたい、という場合には、魅力的だ。「日本の会社が、海外の優れたエンジンを載せて、安く売る」モデルと考えると分かりやすい。価格を最優先するなら、検討の価値がある。
で、私は何を使っているか
さんざん「フラットに比べよう」と言っておいて、最後に、正直なところを書く。
本当は、うちの会社で導入しているものを紹介できれば、一番リアルなのだが——そこは、セキュリティに関わる話なので、内緒にさせてほしい。
その代わり、私が個人で使っているものなら、正直に言える。ESETだ。
UI周りの使い勝手や、細かい設定の話など、語りたいことは色々ある。でも、要点を一言でまとめてしまえば——これが、いろいろ検討した中で、私が一番「安心」だと感じたから、だ。
開発元は、実績あるヨーロッパの専門企業。日本の窓口は、大手のキヤノン系。検出力と軽さのバランスがよく、動作が軽いのは、毎日使う身として、地味にありがたい。長く続いてくれそうな安心感と、製造元への信頼。この記事で挙げてきた基準に、一番きれいに当てはまったのが、これだった。
もちろん、これは「私の場合」だ。日本語サポートを最優先するならウイルスバスター、とにかく安くならZERO、というように、何を一番大事にするかで、答えは変わる。大事なのは、「安心を買う」という視点で、自分(や自社)にとっての一番を選ぶことだ。
会社のパソコンを、そして、あなた自身の安心を守るために。一度、見直してみる価値は、きっとある。
「総務・労務・経理で悩むあなたに、現場から届けます。」
次はこの話をするね
車両管理は、総務の仕事〜複雑怪奇なエクセルと、DX化が進まない本当の理由〜
今回の記事に関連しそうなもの。
気になるなら見てみて。

コメント