いざという時、動いてくれる人〜保険は「誰と付き合うか」で決まる〜

総務・庶務

正直に言う。

前回まで、社員の車にナンバープレートが飛んできた事故で、代理店のIさんが見せてくれた、見事な働きの話をした。

あの時のIさんの動きは、今でも頭から離れない。そして実は——私自身にも、Iさんに救われた、忘れられない出来事がある。今日は、その話をさせてほしい。少し、私の個人的な話から始まる。


私が、バイクに乗る理由

私はバイクが趣味だ。

きっかけは、子供の頃に見たアニメだった。『プラネテス』という作品のエンディングで、主人公がバイクにまたがり、綺麗な景色の中を走り抜けていく。あの光景が、子供心にどうしようもなく焼き付いた。

そもそもバイクは、確実に「趣味」の乗り物だと思う。多くの人は、車の免許を取ったらそれで終わる。でもバイク乗りは、そこからわざわざお金と手間をかけて、二輪の免許を取り、バイクを買う。だからバイク乗りは、みんな何かしらの「好き」を抱えている。走りたいのか、格好よさなのか、ステータスなのか。

私の場合は、子供の頃の憧れだ。あのエンディングの光景を、自分で叶えたかった。

そして、叶えた。あの憧れの通りだった。バイクは最高だ。今でも、最高の趣味になっている。

——だが、何事もいい面ばかりではない。当然、バイクに乗って、痛い思いをしたこともある。


救急車に乗った日

ある時、私は車と接触する事故に遭った。救急車で運ばれ、病院で診察を受けることになった。

診察の最中に、保険代理店のIさんに連絡を入れた。会社の保険も、私個人のバイクの保険も、同じ代理店でお世話になっていたからだ。

Iさんは、すべての業務をほっぽり出して、すっ飛んできた。あの事故の時と、同じだ。

そして、私の診察が終わるまで、ずっと、病院で待っていてくれた。自分の仕事もあるだろうに、だ。診察室から出てきた私を見て、心底ほっとした顔をしていたのを、よく覚えている。

会計の窓口で、私がお金を払おうとした、その時。Iさんが、すかさず、その場で保険会社に連絡を取ってくれた。結果、私は一円も払わず、保険ですべて対応することになった。本来なら、自分で立て替えて、後から保険に請求する流れのはずだ。それを、その場で済むように、手を回してくれた。

それは、病院を出た後の、近くの薬局でも同じだった。処方された薬を受け取る時も、私は財布を出すことなく済んだ。怪我をして気が動転している時に、「お金」の心配を一切しなくていい。これが、どれだけありがたいことか。やってみないと、分からないと思う。

結局、私は松葉杖で歩くことになったのだが、Iさんは、その隣を、心配そうに、ゆっくり歩いてくれた。私のペースに、ずっと合わせて。


バイクと、私を、家まで

病院を出ても、Iさんの「すっ飛んできた」は、終わらなかった。

事故に遭ったバイクは、その時、一時的にある場所に置かせてもらっていた。だが、そのままにはしておけない。すると、Iさんは、その日のうちに、私のバイクを、自ら押して、本当に安全な場所まで運んでくれた。松葉杖の私には、とてもできないことだ。

そして、それが済むと、今度は——私には、もう帰る足がない。バイクは動かないし、松葉杖だ。Iさんは、当たり前のような顔で、自分の車で、私を自宅まで送ってくれた。

怪我をして、気が動転して、足もない。そんな私の「困った」を、Iさんは、一つ残らず、先回りして片付けてくれた。病院の付き添いから、お金の手続き、バイクの始末、そして家まで。気づけば、私は、何一つ、自分で困らずに済んでいた。


これは、普通ではないのかもしれない

私が会社の保険の更新を担当しているから、優遇してくれているだけかもしれない。

そう思ったのも、正直なところだ。

ただ、あの時の行動に、下心は感じなかった。

好きな小説に、こんな言葉がある。

「人はね、景麒、真実相手に感謝し、心から尊敬の念を感じたときには、自然に頭が下がるものだ。」

—— 小野不由美『十二国記』(新潮文庫)より

私は、この言葉が好きだ。

自分の立場に本気で寄り添ってくれる人間に対して、人は自然と頭が下がる。計算ではなく、本能で。

Iさんに対して、私はまさに、そう感じた。


いざという時、動いてくれる人を

保険の商品そのものは、正直、どこも、ある程度は似ているのかもしれない。でも、いざという時に、本当に動いてくれる人がそばにいるかどうかは、まったく別の話だ。

会社の保険を選ぶというと、つい「保険料が安いか」だけに目が行きがちだ。でも、本当に見るべきは、それだけじゃない。何かあった時、誰が、どう動いてくれるか。Iさんと過ごしたあの日々が、私にそれを教えてくれた。

会社を守るというのは、結局のところ、いざという時に一緒に動いてくれる人を、そばに置いておくこと。それは、どんなに優れた商品やシステムよりも、心強い「備え」になるのだと思う。

Iさんのような人に出会えたことは、正直、運が良かった。でも——探せば、いる。そういう人は、必ずいる。


さて。車両管理という入り口から始まって、ずいぶん長く、付き合ってもらった。Iさんの話も、これでひと区切りだ。

ただ、これまでに触れた「保険のしくみ」には、正直、まだ語りきれていないことが、いくつもある。もらい事故の話、代理店と保険会社の役割、いざという時の備え。次回は、その辺りを、ちょっとした補足編として、まとめて書こうと思う。少しややこしいけれど、知っておくと、役に立つはずだ。

「総務・労務・経理で悩むあなたに、現場から届けます。」

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