ノートの色が、消えない〜前倒しできない仕事と、せっかちな私〜

現場のあれこれ

正直に言う。あれから私は、ノートを、むちゃくちゃ見返すようになった。

以前、ノートを買った話を書いた。A4の白紙にメモして、どこかへ失くして、自分が属人化の塊だったと気づいて、A部長代理に「ノートを買え」と言われて、ダイソーに走った。あの話の、続きだ。

結論から言う。ノートは、効いた。ページをめくれば、書いたことがちゃんとそこにある。失くさない。振り返れる。当たり前のことが、当たり前にできる。義務教育で習うようなことを、いい大人になって、ようやく体で覚えた。


重要なものに、色をつけた

使っているうちに、工夫も生まれた。

重要度の高い仕事には、色をつける。そうすれば、ページを開いた瞬間に「これは大事だ」と目に飛び込んでくる。普通のメモに埋もれず、ちゃんと立ち上がってくる。我ながら、いい工夫だと思った。

そして、片付いたら、その色を消す。線を引いて、終わらせる。一つ消えるたびに、ちょっと嬉しい。やることが減っていくのが、目に見える。なかなか、気分がいい。

……はずだった。


消えない色が、ある

使い始めて、すぐ気づいた。消せない色が、あるのだ。

管理部門の仕事には、「その時期が来ないと、どうやっても着手できない」ものがある。たとえば、国に出す書類だ。

この手の書類は、提出を受け付けてもらえる時期が、きっちり決まっている。その時期が来るまでは、出したくても出せない。スタートラインに立つことすら、できないのだ。

じゃあ、せめて中身だけでも先に作っておこう——とも、いかない。書類には、その年度の最新のフォーマットがある。去年まで使っていた様式で作っても、受け付けてもらえない。だから、最新の様式が出てくるのを待って、それから作り始めるしかない。前倒しが、そもそもできない仕組みなのだ。

そういう仕事に、私は「重要」の色をつけてしまった。大事だから、忘れたくなかったから。でも、その色は、当分のあいだ、消せない。だって、まだ手をつけられないのだから。

結果、ノートを開くたびに、その色が、ずっとそこにいる。「大事だぞ、忘れるなよ」と言いながら、「でも、まだ何もできないぞ」と。

これが、なんというか、ちょっと気になる。


どうやら私は、せっかちらしい

色が一つ片付くのは、あんなに気分がいいのに。消せない色が残っているのは、どうも、落ち着かない。

どうやら私は、けっこう、せっかちな性分らしい。やれることは、さっさとやってしまいたい。色は、どんどん消していきたい。でも、世の中には「今はまだ、待つしかない仕事」がある。私がどれだけ前のめりでも、時期が来るまでは、どうにもならない。

その消えない色は、こう言っているのかもしれない。「まあ、落ち着け」と。何でも先回りして片付けたがる私に、「待つのも仕事のうちだぞ」と、のんびり構えている。

頭では、分かっている。分かってはいるのだが——やっぱり、早く消したい。この性分は、そう簡単には直りそうにない。


それでも、ノートは続く

とはいえ、だ。

消えない色が残っていても、ノートが効いていることは、変わらない。むしろ、その色のおかげで、「あ、そろそろあの時期だ」と気づける。ちょっと気になるのと引き換えに、私は大事な仕事を、もう取りこぼさなくなった。悪くない取引だ。

属人化をなくせと言いながら、自分が属人化の塊だった。その反省から始まった、一冊のノート。今では、消える色と、消えない色が混ざった、なかなかにぎやかなノートになっている。

まだまだ、ノートの旅は続く。次に何か気づいたら、また、ここで報告する。

「総務・労務・経理で悩むあなたに、現場から届けます。」

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