正直に言う。
前回、事務職を目指す人へ向けた話を書いた。今日はその続きのような話だ。実際に採用する側に回って見えた景色を、正直に書いていく。これから面接を受ける人の役に立てばいい。
初めて面接に同行したことがある。採用する側として、だ。
ある事業所で事務員を増員することになり、本部で面接をすることになった。面接をするのは管理部長で、私はその横に陪席として座らせてもらった。当時の私はまだ右も左も分からない駆け出しだ。面接で何を見ればいいのかも、正直よく分かっていなかった。
そんな私でも、その日に見た管理部長の面接から、はっきり学んだことがある。
私が聞けたのは、実務のことだけだった
面接の主役は管理部長だ。私は陪席で、最後に「凪からも何かあるか?」と振られる程度の立場だった。
その時に私が聞けたのは、ごく実務的なことばかりだ。パソコンの操作は得意か。前の職場ではどんな種類のソフトを使っていたか。自分に分かることしか聞けなかった。
自分の土俵の中でしか質問できない。今思えば、当時の私にはそれが精一杯だった。情けないが、正直なところだ。
ところが、管理部長の質問はまるで違った。
面接は、ミスマッチをなくす場だった
横で聞いていて、まず気づいた。管理部長は自己PRを聞く場として面接をしていなかった。
当社の雰囲気、職場の実態、求めている人物像。それを伝えながら、相手の考えや希望と照らし合わせていく。お互いに「合うかどうか」を確認する対話の場。それが管理部長の面接だった。
だからこそ、受け答えがぼんやりしていると話が進まない。ミスマッチが埋まらないまま採用になれば、入った後でお互いが不幸になる。それを避けるための時間なのだと、横で見ていて分かった。
落ちる人の特徴①:自分のことを答えられない
管理部長は、こう聞いていた。「このお仕事では何をされていたんですか」「この期間はどう過ごされていたんですか」
純粋に知りたくて聞いている。その人のことは、その人にしか分からないからだ。
ところが、ここで「うーん…」「ちょっと覚えてないです…」と濁す人がいる。すると場の空気が止まる。私は横で内心ひやひやした。
もちろん、答えたくない前職の事情もあるだろう。それは構わない。困るのは、自分が何をやってきたかという、自分自身の歴史にすら準備をしてこないことだ。経歴書の文字をなぞるだけなら、面接をする意味がない。
後で分かったことがある。こういう時、採用する側は「実務でも確認漏れを誤魔化す人なのかな」と不安を覚えてしまうのだ。自分のことを聞かれて答えられないと、そこまで連想される。横で見ていて初めて知った感覚だった。へー、そういうふうに見えるのか、と。
落ちる人の特徴②:希望をはっきり言えない
希望年収を聞いた時のことだ。
「特に希望はありません」でも構わない。はっきりそう答えてくれれば、採用する側も動きやすい。
困るのは「うーん…少しでも多めに…」という答えだ。これだと、こちらもどうしてあげればいいのか分からなくなる。
これはあなたの就職活動だ。あなたの人生の話をしている。希望があるなら伝えてほしいし、ないなら「ありません」と言ってほしい。どちらでもいいから、はっきりしてほしい。横で聞きながら、私はそう感じていた。
受かる人は、言葉がはっきりしている
表情や態度は、面接という場ではほぼ均一化される。初対面で緊張するのは当然だし、作り笑いになるのも分かる。そこで人を判断するのは難しい。
結局、その人から出てくる言葉が全てだった。
「自分のこんな経験が役に立つと思います」。そういう言葉が自然に出てくる人は、印象が違った。前向きというより、自分の言葉を持っている人、という感覚だ。横で見ていても、それははっきり伝わってきた。
男女は関係ない。年齢も関係ない。言葉がはっきりしているかどうか。管理部長が見ていたのは、たぶんそこだった。
面接の後、管理部長が言ったこと
面接が全部終わった後、私は管理部長に聞いてみた。「ああいう時、何を基準に決めるんですか」と。
管理部長は少し考えて、こう言った。
「採用ってのはな、落とすためにやるんじゃない。合う人を見つけて、長く働いてもらうためにやるんだ。だからこっちは、落としたくて見てるわけじゃない。ただ——自分の言葉を持ってここに来てくれているか。それは、ちゃんと見てる」
その言葉が、妙に腹に落ちた。私が横で「へー」と思って見ていたことの全部が、この一言に集約されていた気がした。
これから、面接を受けるあなたへ
あの日の私は、まだ実務のことしか聞けない駆け出しだった。でも、横で見て学んだことは、今もはっきり覚えている。
もし今、あなたが面接を控えているなら。一つだけ伝えたい。
自分の言葉を準備していってほしい。立派なことを言う必要はない。自分が何をやってきたか。何を希望しているか。それを自分の言葉ではっきり伝えられるように。それだけで、採用する側に見える景色はまるで違う。
採用する側は、あなたを落としたいわけじゃない。合う場所を一緒に探そうとしている。だからどうか、構えすぎずに。あなたの言葉で臨んでほしい。
「総務・労務・経理で悩むあなたに、現場から届けます。」
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