給与大将は使いづらい? 〜不満を数えたら、犯人は自分だった〜

ソフトの話

正直に言う。

「給与大将、なんか使いづらいんよなあ」

給与計算の話をしていたとき、A部長代理(給与担当)が、ぽつりとそう言った。長年このソフトを使ってきた、私の大先輩だ。その人でも、そう感じることがあるらしい。

少し、安心した。実は私も、同じことを思っていたからだ。うちの会社は、給与計算に「給与大将」というソフトを使っている。そして私は、これがどうにも、使いづらいと感じていた。

でも、A部長代理は、不満を口にしつつも、毎月の給与計算を、淡々とこなしている。文句を言いながら、ちゃんと使いこなしている。その姿を見ていて、ふと思った。——私が感じている「使いづらさ」って、本当に、ソフトのせいなんだろうか。

そこで、一度きちんと、不満を数えてみることにした。すると、おかしなことが起きた。一つ一つ挙げていくたびに、なぜか、自分で自分に反論したくなってくるのだ。


給与大将とは

本題の前に、軽く紹介を。給与大将は、ミロク情報サービスという会社が提供する、中堅・中小企業向けの給与計算ソフトだ。同社の会計ソフト「財務大将」との連携が強みで、税理士法人経由で導入されるケースが多い。うちも、まさにそのパターンである。

給与計算から社会保険、年末調整まで、ひと通りの機能を備えている。インストール型(会社のパソコンに入れて使うタイプ)で、決して、機能が貧弱なソフトではない。……はずだ。それを踏まえて、私の「不満」を、聞いてほしい。


不満① UIが、どうにも使いづらい

登録も、検索も、直感的とは言いがたい。どこに何があるのか、最初はまるで分からなかった。

……と、ここまで書いて、白状しなければならないことがある。後で知ったのだが、給与大将のUIは、実は複数のパターンから選べるらしい。そして、うちが使っているのは、導入時のまま、初期設定のUIだった。

つまり、「使いづらい画面を、変えもせずに、何年も使い続けていた」だけ、という可能性が出てきた。これは、ソフトへの不満なのか、設定を見直さなかった我々への不満なのか。……雲行きが、怪しくなってきた。


不満② 法改正のたびに、手動で対応する

社会保険料率の変更や、新しい制度の追加。そのたびに、手動でアップデートを当てて、最新の状態に保つ必要がある。クラウド型なら自動でやってくれる、という話を聞くと、正直、うらやましい。

……ただ、これも考えてみれば、給与大将が悪いというより、インストール型というタイプの特性だ。手元のパソコンで動く安心感と引き換えに、更新は自分でやる。クラウド型は、その逆。どちらが良いという話ではなく、向き不向きの問題だろう。うちがインストール型を選んでいる(使い続けている)以上、これは受け入れるべきコストなのかもしれない。

(ちなみに、このクラウドとインストールの話は、会計ソフトの方でも書いた。気になる人は、そちらも覗いてみてほしい。)


不満③ マイナンバーが、給与大将の中で完結しない

これは、使い始めて意外だったことだ。マイナンバーの管理が、給与大将の中だけでは完結しない。専用の管理システムに連携し、そちらで登録・更新すると、給与大将側に反映される——という仕組みになっている。

最初は「なんで本体だけで完結できないんだ」と、ひと手間に思った。……が、これも調べてみて、納得した。マイナンバーは「特定個人情報」と呼ばれ、通常の個人情報よりさらに厳重な管理が、法律で求められている。だからこそ、給与計算の本体に直接持たせず、あえて独立したシステムで管理する。情報漏えいのリスクを抑えるための、設計だったわけだ。

ひと手間に見えたものは、安全のために「あえてそうしている」工夫だった。……また、反論されてしまった。私の負けだ。


不満④ 有給の管理を、任せきれていない

これが、いちばん引っかかっている。

うちは今、有給休暇の残日数を、エクセルで作った「有給管理表」で管理している。そして、その数字を、給与大将に手で打ち込んでいる。……よく考えると、これは、おかしい。有給の残日数管理なんて、本来、給与計算ソフトである給与大将が、いちばん得意とするはずの仕事ではないか。

なぜ、わざわざエクセルで管理して、それを打ち込むという、二度手間をしているのか。考えられる理由は、いくつかある。給与大将にその機能がないのか(いや、ないはずがない)。あるけれど、設定が分からず使えていないのか。あるけれど、こちらの欲しい形にならず、途中で諦めたのか。

……正直、私にも、まだ分からない。ただ、ここでも一つ言えるのは、「給与大将が有給管理をできない」のではなく、「我々が、給与大将に有給管理をさせられていない」可能性が、十分にあるということだ。(ちなみに、その複雑怪奇なエクセルの有給管理表については、この記事で詳しく書いた。)


不満を数えたら、犯人は自分だった

こうして並べてみて、気づいた。私の「使いづらい」の多くは、給与大将そのものの欠点というより、「使いこなせていない我々」の問題かもしれない、ということに。

UIは、変えられた。法改正の手動対応は、インストール型を使う以上の宿命だ。マイナンバーは、安全のための設計だった。有給管理は、たぶん、やらせられるのにやらせていない。——不満を数えたつもりが、ことごとく、自分に返ってきた。

私は、まだこのソフトに触れて、日が浅い。パソコン自体は得意なほうなので、腰を据えて深掘りすれば、もっと機能を引き出せるはずだ、という感触はある。一方、A部長代理は、導入の初期から、もう長いことこのソフトと付き合っている。それでも「なんか使いづらい」と言う。あの人ですら、まだ引き出しきれていない機能が、眠っているのかもしれない。

そう考えると、給与大将は、案外、奥が深いのだろう。不満を言う前に、まずこちらが、ちゃんと向き合えているか。——そんなことを、考えさせられた。財務大将の方も含めれば、もう長い付き合いだ。文句を言いつつ、少し、愛着も湧いている。

もちろん、いつかは、他のシステムと比較してみるべきだとも思う。比べてみて初めて、「実は給与大将、ここが良かったんだ」と分かることも、きっとあるはずだから。その話は、また、いつか。

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