経理・総務・労務の資格、何から取る?〜現役担当者が考える優先順位〜

キャリア・転職

正直に言う。

管理部門で働いていると、「何か資格を取った方がいいですか」と聞かれることがある。

そのたびに思う。資格そのものより、何のために取るかの方がずっと大事だ、と。その前提で、私が「管理部門にあったらいい」と思う資格を、現役担当者としての本音で並べていく。すぐに必要なものから、いつか向き合いたいものまで、温度差も含めて正直に書く。

その前に、もし「そもそも経理・総務・労務って何が違うの?」と迷っているなら、違いを整理した記事を先に覗いてもらうと、どの資格が自分に効くか見えやすいと思う。


まず押さえたい① 簿記

経理をやるなら、これは断言できる。簿記は、まず押さえるべきだ。

簿記がなくても経理の仕事はできる。ただ、数字の流れを体系的に学ばずに業務に入ると、最初の苦労が全然違う。商品知識ゼロで商談に行くようなものだ。

私は簿記を持っている。経理を目指すなら、まず3級から始めてほしい。それだけで、仕事の見え方がかなり変わる。経理にとっては、これが土台だ。


まず押さえたい② MOS(エクセル・ワードの証明)

エクセルとワードが使えることは、管理部門では前提だ。MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)という資格があり、私も遥か前に取得した。

正直、これは派手な武器にはならない。「最低限できますよ」の証明に近い。でも、だからこそ、まず押さえておくべきだと思っている。これがあると、少なくとも「基本はできる人」として見てもらえる。逆に、ここが怪しいと、何を任せるにも不安に思われてしまう。

土台として、早めに取っておいて損はない資格だ。


価値は絶対、でもハードルは高い 社労士

労務をやるなら、社労士は——正直、あったほうがいいに決まっている。労働法も社会保険も、まさに社労士の領域そのものだ。労務担当者にとって、これ以上に直結する資格はない。A部長代理(給与担当)から「取れ」と言われているのも、よく分かる。

ただ、正直に言う。気は重い。

社労士は、人生をかけて取り組む人がいるほどの資格だ。合格率は毎年一桁台。生半可な気持ちでは、とても届かない。「あったほうがいい」のは分かりきっている。でも、「簡単に取れる」ものでは、決してない。

それでも、労務をやっている以上、ここで学ぶことは何ひとつ無駄にならない。それは分かっている。だから、言われたその日に本屋に行き、そこまで高額でもなかったので、テキストだけは買ってみた。

※このテキストの中身は主に3編に分割されており、バラして読んでいる

買って、何ページかめくってみた。そして、すぐに気づいた。とにかく用語が多い。一つひとつが細かい。これは独学で挑むには、相当きついと感じる。

個人差はあると思う。ただ私は、簿記の時も専門学校に通って講座を受けた。テキストを見てもさっぱり分からなかったからだ。だから社労士も、まずはきちんとした講座で学べれば——テキストを買って、そう思い出した。最近は、スマホで学べるオンラインの講座も増えていると聞く。本腰を入れるなら、そういう選択肢も含めて考えたい。

社労士は、頭の良し悪しで取れる資格ではないと思う。必要なのは、熱量と、時間と、正しい学び方だ。

本腰を入れるのはもう少し先になりそうだが、いつかは向き合わないといけない資格だと思っている。


すぐには要らない、でも気になっている資格たち

ここからは少し毛色が変わる。すぐに必要なわけではないけれど、管理部門で働くうちに、「これ、知っておくといいかもな」と気になってきた資格たちだ。

個人情報保護士。管理部門は、社員のマイナンバーから給与、社会保険まで、個人情報の塊を扱う部署だ。その扱いには、いつも神経を使う。だからこそ、個人情報の保護を体系的に学べるこの資格は、地味に効くんじゃないかと思っている。企業の総務・法務担当が取ることも多いらしい。

メンタルヘルス・マネジメント検定。労務は「人」を扱う仕事だ。最近は、職場のメンタルヘルスへの対応も、労務の大事な役割になってきた。心の健康について体系的に学べるこの資格も、頭の片隅で気になっている。

——と、ここまで「気になっている」と書いてきたが、白状する。

FP(ファイナンシャルプランナー)だけは、気になるどころか、気づいたらテキストをカゴに入れていた。

言い訳をすると、管理部門にいると、給与計算や社会保険の延長で、社員からお金の相談を受けることが地味にある。「住宅ローン控除ってどうなるの」「ふるさと納税の上限は」。そういう時、FPの知識があれば、もう少しまともに答えられるのかもしれない。

名前の響きもいいし、管理部門の担当者が持っていると、なんとなく一目置かれる空気もある。緊急性はない。資格手当がつくわけでもない。でも、なんとなく気になる。社労士みたいに本屋で気合を入れて買ったわけじゃなく、気づいたらカゴに入っていた、くらいの温度感で。


周りが持っている資格 ITパスポートと秘書検定

自分は持っていないが、周りの管理部門の人が持っていて、「いいな」と思う資格もある。

ITパスポート。IT系の国家資格だ。私はまだ持っていないが、うちのC先輩(経理担当)が持っている。経理畑なのに、なぜかプログラミングにも詳しくて、社内のシステム周りで困ると、たいていこの人に話が回る。

これからの管理部門は、DXだ電子化だと、ITが絡む話がどんどん増えていく。電子帳簿保存法への対応、勤怠管理システムの導入、会計ソフトのクラウド移行。どれもITの基礎が分かっていないと、業者との会話にすらついていけない。C先輩を見ていると、こういう資格を持っている強みを、しみじみ感じる。基礎用語を体系的に押さえられて、難易度もそこまで高くないらしい。いつか手をつける価値はあるのかもしれない。

秘書検定。これも、管理部門で持っている人がいる。実務でバリバリ使うというより、社会人としての基礎——ビジネス文書、敬語、来客対応——が体系的に身につく資格だ。土台の所作を整える、という位置づけ。これから就職する人や、基本を学び直したい人には、合っていると思う。


会社が推奨する専門資格があるなら

業種によっては、会社が推奨する専門資格がある。資格手当が出る場合も多い。これは、取れるなら取っておいた方がいい。理由はシンプルで、お金になるからだ。あなたの生活に直結する。


まとめると

管理部門で、まず確実に押さえたいのは、経理なら簿記、全員の土台としてMOS。ここは優先度が高い。そして労務のスペシャリストを目指すなら、いつかは社労士と向き合うことになる。

その先に、個人情報保護士やメンタルヘルス、FPのような「いつか役立ちそうなもの」が広がっている。緊急性がなくても、種をまいておけば、いざという時の動き出しが早くなる。実際、社労士やFPのテキストを買ってみて、そう思った。

ただ、最後にこれだけは言っておきたい。資格よりも、実務経験の方が、圧倒的に価値が高い場面が多い。資格は手段であって、目的ではない。何のために取るのかを明確にした上で、優先順位をつけて動くのが一番だと思っている。

現時点の私の本音は、ここまで。

「総務・労務・経理で悩むあなたに、現場から届けます。」

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